こいぬ座を見つけよう

オリオン座おおいぬ座を覚えたら、次はこいぬ座を見つけましょう。
こいぬ座の目印は一等星プロキオン。探し方は簡単です。オリオン座のベテルギウスとおおいぬ座のシリウス、そしてあともう一つの星をつないで冬の夜空に大きな三角形を作るとしたら、アナタならどれにしますか?

ベテルギウスとシリウスは、もう見つけられますね?
その二つと一緒に大きな三角形を作るとしたら…

こいぬ座を見つけよう

星図にマウスを重ねてみると… ほら、この星はどうですか?

ね、これならすぐにわかるでしょ?これが冬の大三角。 明るい星ばかりなので、一度覚えてしまえばすぐに見つけられますよ。
この三つめの星が、こいぬ座のプロキオンです。プロキオンは、赤いベテルギウス青白いシリウスにくらべて少し黄色っぽくみえるかもしれません。そんなところも覚えておくと、探すヒントになるかな?

「プロキオン(Procyon)」という名前は犬の前という意味のラテン語です。この場合の「犬」とは、おおいぬ座のシリウスのこと。この名前が付けられた紀元前5世紀頃には、プロキオンがシリウスより先に東の地平線から昇ったことからそう呼ばれたようです。

こいぬ座のお話

こいぬ座オリオン座やおおいぬ座と違い、こいぬ座は星座の並びから姿を想像するのはちょっと難しいかもしれません。なにしろ星座線といえばたった二つの星をつないだだけの直線(笑)!どうやれば小犬の姿に見えるんじゃ!?

でも、プロキオンを小犬の胴体、もう一つの星を小犬の顔辺りと考えると、なんとなく、なんとな〜く(笑)、想像できるかな?

そして、この二つめの星の名前ゴメイサの意味知ると、この星座にまたちょっと違った印象を受けるかもしれませんよ。
ゴメイサ(Gomeisa)には「かすかなもの・涙ぐんでいるもの」という意味があります。これはもともとプロキオンの名前で、シリウスよりも暗いことを意味していたといわれていますが、こいぬ座にまつわるギリシャ神話は、この名前にぴったりのお話なんです…

アクタイオンは、賢者ケイローンに手ほどきを受けた狩の名人で、愛犬メランポスと多くの猟犬たちを従えて、日々野山を駆け巡っていました。

そんなある日、アクタイオンは獲物の鹿を追ううち深い森に迷い込んでしまいます。やがて日も落ち、頼みの綱の猟犬たちともはぐれ、すっかり途方にくれてしまうのですが、そんな時、遠くでぼんやり光る灯りに気がつきました。アクタイオンは、そこに人がいるに違いないと信じ、灯りの元に向かったのですが…
なんと!そこにいたのは人ではなく、月と狩りの女神アルテミスとニンフ達だったのです!…これがフツーのときなら、人だろうと女神だろうといいのですが、折り悪く(?)アルテミスは水浴びをしている最中でして…アクタイオンは、こともあろうにこの潔癖症の女神の裸を見てしまいました。

さて、裸を見られた女神はどうしたか。
悔しさと恥ずかしさで顔を赤らめたアルテミスは、泉の水を一すくいアクタイオンに浴びせて、こう叫びました。「女神の裸を見たと言いふらせるなら、言いふらすがいい!」
…実はこれ、捨てゼリフではなく呪いの言葉。アクタイオンは、女神の言葉にたちまち一頭の鹿に変えられてしまったのです!そしてそこに、はぐれた猟犬たちが次々と姿をあらわしました。

口封じなら記憶を消せばいいものを、アルテミスの残酷な仕打ちでした。鹿に姿を変えられたアクタイオンは、あろうことか、自分の猟犬たちにかみ殺されてしまったのです…。

こうしてアクタイオンをかみ殺した猟犬たちは、そうとは知らず、帰らぬ主人を求めて森中を探し続けました。やがてこいぬ座になったメランポスは、天に上げられた今でも、目に涙を浮かべて主人の帰りを待っているのです。

いやー、この話、ひどくない?(汗) 覗きをたくらんだのならともかく、アクタイオンも見たくて見たんじゃないのにねぇ…。これをご覧の男性諸氏、美女の裸には気をつけましょう(笑)。