古代エチオピア王家にまつわる神話

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秋の星座にまつわる神話といえば、何を置いてもエチオピア王家の物語。これを知るか否かで秋の星空の輝きは全く違って見えるはずですよ!(…ホントかな)
それでは、これまでに覚えた星座を思い出しつつ、物語をたどってみましょう。

昔むかし、古代エチオピアにケフェウスという王様がいました。(ひゃー、今回は昔話風だ 笑) ケフェウスはとても立派な王様で、国民は皆幸せに暮らしていたのです。

ケフェウスの妃カシオペアは、大変美しい女性でしたが、その美しさを鼻にかけ、少々高慢ちきなところがありました。それは自分の美しさにとどまりません。二人の間には、アンドロメダというそれはわいらしいお姫様がいましたが、カシオペアは我が娘が自慢でなりませんでした。そしてあるとき、ついこんなことを言ってしまったのです。

 「アンドロメダの美しさには、あのネレイドたちも、足元にも及ばないわ」

ネレイドとは海の神ポセイドンに遣える妖精で、ポセイドンの孫娘に当たります。しかも、この妖精たちもまた、相当な美貌自慢でしたから(こんなのばっかりだなあ)、カシオペアの言葉は聞き捨てなりません。ネレイドたちはかんかんに怒って、ポセイドンに泣きつきました。

かわいい孫たちを人間に馬鹿にされては、ポセイドンも穏やかではありません。カシオペアを懲らしめようと、恐ろしい化けくじらをエチオピアの海岸に差し向けたのです。

そんなわけで(笑)、エチオピアの海岸には、日々化けくじらが姿をあらわすようになりました。津波を起こしては農作物を押し流し、海岸では家畜や人々に襲い掛かり、エチオピアの国は大混乱です。

困り果てたケフェウスは、神様に伺いを立てました。すると、ポセイドンの怒りを静めるためには、アンドロメダを化けくじらの生贄に差し出せというお告げがあったのです(これがカシオペアでないところに、ネレイドたちの嫉妬がうかがえます…)。

ケフェウスは、国を守るため、泣く泣くアンドロメダを海岸の岩に縛り付けました。(下に続く…)

エチオピア王家の星座

(上からの続き…) かわいそうなアンドロメダ姫が一人海岸で震えてると、海がにわかに波立ち始めました。ついに、化けくじらが姿をあらわしたのです!恐ろしい怪物は真っ赤な口を開け、ジワジワとこちらに近づいてきます。アンドロメダはあまりの恐ろしさに、目をつぶりました。

そのときです。
馬の嘶きが聞こえたかと思うと、一人の若者が空から舞い降りてきました。天馬ペガススにうちまたがった、勇者ペルセウスです。ペルセウスは、魔女メデューサを退治し故郷へ帰る途中、偶然通りかかったエチオピアで、岩に縛られたアンドロメダを見かけたのです。

ペルセウスは化けくじらの前に舞い降りると、すかさずメデューサの首を突きつけました。メデューサは、その顔を見たものはすべて石になってしまうという恐ろしい怪物です。これにはどんな怪物もひとたまりもありません。化けくじらはたちまち石になり、海の底へと沈んでいったのです。

こうしてアンドロメダを無事助け出したペルセウスは、アンドロメダとともにケフェウスの元へ帰りました。やがて二人は結婚し、末永く幸せに暮らしたということです。(ちゃんちゃん!)

とまあ、よくいわれるお話はこんな感じです。秋の星座の多くが登場する、なかなかロマンチックで壮大な物語ですよね?

がしかし、実際の神話はもっとエグいものでして…例えば、ペルセウスはアンドロメダを見つけた後、まず「あの娘を助けたら俺と結婚させろ」とケフェウスに約束を取り付けてから助けたり、ケフェウスもケフェウスで、アンドロメダをペルセウスと結婚させないために、従兄弟と偽装結婚させようとしたり、さらに、そのケフェウスに腹を立てたペルセウスが、ケフェウスや兵士たちをみんな石にしてしまったり…というものだったりします。

でもまあ、「星を見ながらそーいう人間くさいお話はちょっと…」と思われる方は、ロマンチックな物語として覚えておきましょう。基本的には、「白馬(どころか天馬)に乗った王子様がお姫様を助けに来る」というお話ですからね!