さそり座を見つけよう

夏は海や山に出かける機会も多くなりますね。そんな場所で初めて天の川を目にする人もいるかもしれません。でも見たことがないと、見えていても案外気づかないかも?下の図で、画面左上から真中下に描かれているのが、その天の川です。白くぼんやり光って見えますから、雲が出てきたのだと勘違いしないで下さいね!

さて、今回探すさそり座は、天の川を南に下っていった先。南の空低い所に、赤い星が輝いている所を見つけてください。その星と回りの星を、釣り針のような形につないでみると…

これは夏の夜に見られる星空です。
さそり座はどこかな?マウスを重ねてみてください。

さそり座を見つけよう

この形、釣り針の他には、アルファベットの「S」の字によく例えられています。Sasori(サソリ)の「S」、Scorpion(英語でサソリのこと)の「S」、どちらでも覚えられますね!ま、そんな覚え方をしなくても、この特徴的な形は覚えられると思うけど…
さそり座自体、冬のオリオン座のように他の星座を探す手がかりにはなりませんが、見慣れてくると、南の空を這うようなさそり座の位置と傾きで、星空の配置がわかるようになってきますよ。

↓マウスを乗せてみてね。5時間分の動きがわかりますよ

さそり座の動き

さそり座が昇ってくると、夏の星座が東の空高く見えているはず。沈みかけていれば、今度は秋の星座が登場する頃。さそり座は、私の中では星空の季節を示す時計のような存在なんですよ!

さそり座のお話

さそり座左の図、なんだか下に寄っちゃって、バランスが悪いみたい?いえいえ、マウスを乗せてみるとわかりますよ。サソリのはさみが大きいんです。
星の並びでピンと来るのは、星座線になっている釣り針のような部分までですけどね。

そのさそり座の目印になった赤い星は、一等星アンタレス(Antares)。有名な星だから、名前くらいは聞いた事があるかな?この名前、小さな子どもには異様にウケるんですよねえ…ヘンな響きに聞こえるみたいですね。でもこれ、ちゃんと意味がある名前なんですよ。
Antaresというのは、「火星に対抗するもの」を意味するギリシャ語をローマ字表記にした、"Anti-Ares"からきているんだそうです。

アンタレスと火星ほら、2001年の空を見ればわかりますよね?→
火星とアンタレスが、赤さを競い合っているみたいでしょ?ところで昔の人は、この二つの星が近づと災害や戦争が起こると考えていたそうですが…ひょっとして、暢気に喜んでいる場合じゃないのか?!(※)
ちなみにアンタレスはよくサソリの心臓に例えられますが、サソリに心臓ってあるのかなあ?私にはこれが気にかかります…誰か教えて(笑)。

追記※
2001年の初夏これを書いたのですが、その後911の事件があり、結構ショックを受けました…

さてさて、このサソリにはどんな神話が残されているかというと、実は冬の星座オリオン座のお話の中に登場しているんです…オリオン座の解説でご紹介した神話はオリオンとアルテミスの悲恋でしたが、今度はちょっと違うお話です。

オリオンは、ギリシャ一の力持ちで、他に並ぶもののない狩の名人でした。ところがオリオンは、次第に自分の力にうぬぼれ、ついには「たとえ神でさえ、自分にはかなわないだろう」と口にするようになってしまいます。

このオリオンの思い上がりに腹を立てたのが、ゼウスの后ヘラでした。ヘラは、できるだけ小さくみすぼらしいものに、うぬぼれやのオリオンを退治させてやろうと策を講じたのです。

ある時オリオンがいつものように森を歩いていると、足にチクリと痛みを感じました。足元には小さな(※)サソリ…。オリオンは、サソリの毒針で刺されてしまったのです!その猛毒には、たとえ力自慢のオリオンでも、ひとたまりもありません。オリオンは、あっという間に息耐えてしまいました。

やがてオリオンは天に上げられ、冬の星座となりました。ところが、オリオンを退治したサソリも、ヘラによって夏の星座になったのです。オリオンは、星になった今でもサソリを恐れ、さそり座が東の空に上ってくる頃には、慌てて西の地平線へ隠れてしまうということです。

もし、オリオンが西に沈むのを見る機会があったら、ぜひ東の空を確かめてみてください。しばらくすると、東からさそり座が姿をあらわすはずです。このお話が、星空を注意深く観察して作られたものであることを実感できると思いますよ。

※オリオンを刺したのは巨大な「化けサソリ」だったというパターンも聞きますが、ここでは「小さなみすぼらしいサソリ」という説(?)を採用しました。…そのほうが説得力があると思いません?古今東西、奢れるものは…ですよね。