超高感度撮影テクニック

新登場!フィールドスーツシステム

映像プロデューサー:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION

この夏、スーパー超高感度カラーテレビカメラシリーズ用に開発された 「フィールドスーツシステム」が発売となる。これはフィールドでの運用性を向上させるために開発された拡張システムだ。ENGの収録現場でも撮影システムに追加することを容易にし、これまで以上に多彩な被写体を撮影することができるようになるという。

フィールドスーツシステムとは?

フィールドスーツシステムは、カメラ本体を包み込むように装着される。絶妙な位置にあるハンドグリップにより、13倍レンズをつけた状態でも気軽に持ち運びができる。フィールドスーツの上面部には、アクセサリーシューが搭載され、この取り付けシューを利用して液晶モニターやガンマイクなど、ENG撮影で必要な機材を装着できるようになっている。また、スーパー超高感度カラーテレビカメラシリーズは近赤外域での撮影も可能なため、フィールドスーツのアクセサリーシューをつかって赤外線投光器を取り付けるという活用用途もある。月のない夜に野生動物を撮影するのにもうってつけだ。

さらにフィールドスーツシステムでは、Vマウント方式リチウムイオンバッテリーでの運用が可能となるのも見逃せないポイントだ。通常のENGカメラのようにリア部にバッテリーを直接装着することはできないものの、三脚に据えてじっくりおこなう超高感度撮影では、ケーブル接続による電源供給も致命的とはいえない。なぜなら星空やオーロラなど、外気温が低い夜間が主たる撮影舞台となるスーパー超高感度カラーテレビカメラシリーズでは、バッテリー部自体を保温ケース等に入れて運用することで、低温時におけるバッテリー性能低下をふせぐ役割を果たしてくれるからだ。また専門的な撮影用途ではそれぞれの現場に応じたカスタマイズが必要なのも事実。ハンドヘルドによる撮影に対応できないなどの制限もある。

広がるNC-R550aシリーズの可能性

もともと放送用、観測用、医療用などの各市場向けにNECが開発したNC-R550をベースに、五藤光学研究所が天体撮影用、顕微鏡撮影用、そしてネイチャー撮影用にモディファイしたのがスーパー超高感度カラーテレビカメラシリーズだ。フィールドスーツシステムの登場で、従来の天体撮影の分野だけでなく様々なシチュエーションにおける超高感度カラー撮影が可能になり、科学番組やドキュメンタリー作品はもとより、夜間の緊急報道の中継用など幅広いシーンにまで活用範囲が広がることだろう。

著者プロフィール

竹本宗一郎(映像プロデューサー)

1968年東京生まれ。1991年大阪芸術大学芸術学部卒業。 東京吉祥寺の映像制作会社ZERO CORPORATION代表取締役。自然をフィールドにした様々な映像を制作。特に超高感度カメラによる天体撮影に精通し、CMや番組、科学館、博覧会など向けの映像を手がける。また月刊天文ガイド「ASTRONOMY VIDEO」連載のほか、「天体ビデオ撮影マニュアル」「天体ビデオ撮影入門」や「コンパクトデジタルカメラで野鳥を撮ろう!」などの著書も執筆。