超高感度撮影テクニック
放送用高画質収録にはアナログコンポーネント出力
スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550a」、「NC-R550b」、「NC-R550n」それぞれの映像出力は2系統存在する。アナログコンポジット出力とアナログコンポーネント出力だ。
このふたつの出力信号は、単純に言えば画質の差と接続できる機器の違いということになるだろう。
アナログコンポジット出力はケーブル1本で様々な映像機器に接続できる手軽さが魅力。一方、アナログコンポーネント出力は、アナログコンポジット出力に比べ高画質な映像が得られるメリットがある。
今回は、この2種類の映像出力の使い分けについてご紹介しよう。
汎用性の高いアナログコンポジット出力
フィールドスーツシステムを運用する場合、ファインダーとして高精細小型液晶モニターをカメラ上部に搭載することになる。
映像信号はアナログコンポジット出力と小型液晶モニターをBNC端子ケーブル1本で接続すれば完了だ。
撮影した映像をビデオ収録する場合は、アナログコンポジット出力端子に信号を2分配できるアダプターを取り付け、モニターとデッキ(DVカメラなど)それぞれに映像信号を送ることができる。
民生用の映像機器は、アナログコンポジット入力を備えたものも多いため、手持ちの機材を利用できるのが大きなメリットだ。
天文台や科学館では、天体撮影用スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550a」で撮影した映像をそのままスルーで大型モニターに映し出しお客様に星空を楽しんでもらう場合と、天文現象など貴重な瞬間を動画で記録に残す場合のふた通りの撮影方法があるだろう。
大型モニターには、アナログコンポーネント入力をもつものもあるので、用途と接続する機材のバランスを考え使い分けたい。手軽さで言えばアナログコンポジット出力を利用するのが圧倒的に便利だ。
放送用途にはアナログコンポーネント出力
一方、アナログコンポーネント出力は、アナログコンポジット出力に比べ高画質の映像を得られるのが最大のメリットだ。
ネイチャー撮影用スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550n」を放送番組の収録で使用する場合には、やはりアナログコンポーネント出力を使用することになる。
現在、アナログコンポーネント入力をもった放送用ポータブルビデオレコーダーは発売されていないが、放送業界では今なお現役で活躍している放送用高画質アナログフォーマットのデジタルベータカム「DVW-250」、あるいは業務用フォーマットのDVCAM「DSR-50」などを使用し、ネイチャードキュメンタリー番組の収録などを行っている。
高S/Nによりアップコンバートでも高画質
デジタルベータカムとDVCAMは、ともにアナログのSDフォーマットのため、ハイビジョン放送で使用する場合には、スタジオでSD→HDのアップコンバートを行って編集作業が進められる。「NC-R550n」は非常に高いS/Nを実現しているため、アップコンバートした際の画質もオンエアに必要十分なパフォーマンスをもっている。
ハイビジョンのHDCAMフォーマットを使用する場合には、「HDW-250」が選択肢の一つ。撮影現場でアップコンバートを行いながらHDCAM収録することになる。
この場合は、カメラのアナログコンポーネント出力からSDI信号に変換するコンバーターとSDからHDに変換するアップコンバーター装置を介して、HDW-250にハイビジョンSDI信号で記録する。先日TBSの番組でプラネタリウムの撮影を行った際には、まさにこのシステムでENG収録を行った。
どの方法がベストということも言えないが、画質を考えればDSR-50は不利だがコストは低く抑えられる。DVW-250は最高のSD画質を得られるが、すでに市場での玉数が少ない。よってHDW-250という選択肢もあるわけだ。
唯一の選択肢にして最大のパフォーマンスを実現する
現在、NHK以外の民放各局が導入可能な超高感度カラーカメラは、五藤光学研究所のスーパー超高感度カラーテレビカメラシリーズが唯一にして最強の選択肢となるため、今後ますます放送分野で活躍する場面が多くなるだろう。
番組放送予定
- タイトル
- TBS「ざっくりマンデー」
- 放送日時
- 2009年7月6日 24:59〜25:29
- 番組案内
- http://www.tbs.co.jp/zakkuri-monday/
著者プロフィール
竹本宗一郎(映像プロデューサー)
1968年東京生まれ。1991年大阪芸術大学芸術学部卒業。 東京吉祥寺の映像制作会社ZERO CORPORATION代表取締役。自然をフィールドにした様々な映像を制作。特に超高感度カメラによる天体撮影に精通し、CMや番組、科学館、博覧会など向けの映像を手がける。また月刊天文ガイド「ASTRONOMY VIDEO」連載のほか、「天体ビデオ撮影マニュアル」「天体ビデオ撮影入門」や「コンパクトデジタルカメラで野鳥を撮ろう!」などの著書も執筆。