超高感度撮影テクニック

コンポーネント収録用マルチケーブル

映像プロデューサー:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION

ネイチャー撮影用スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550n」は、これまでに多くのテレビ番組でも活躍しているが、高画質な映像収録が求められるTV番組の現場では、カメラのアナログコンポーネント信号(Y/Pr/Pb)を収録デッキに入力する。


カメラや収録デッキに搭載されたアナログコンポーネント端子はBNCコネクタ3本を使用したものがほとんどだが、NC-R550nではヒロセ電機の小型プッシュプルコネクタ(HR10A-7R-6SB)が採用されている。そのため、収録デッキにアナログコンポーネント信号を入力するためには専用のケーブルが必要となる。
今回は、実際の収録現場で使用しているカスタムケーブルの幾つかをご紹介しよう。

小型プッシュプルコネクタ → BNCコネクタ3本

最もシンプルなものとしては、ヒロセ電機の小型プッシュプルコネクタからBNCコネクタ3本に変換するケーブルが使われる。収録デッキ側がBNCコネクタ3本によるコンポーネント入力に対応している場合には、このケーブル1本でOKだ。
弊社が使用しているのは、現場によってケーブルの長さを自在に変更できるよう、オスタイプのBNCコネクタに仕上げてある。こうしておくことで、現場に合わせて必要な長さのBNCマルチケーブルと組み合わせ簡単に延長することができるというわけだ。

小型プッシュプルコネクタ→ 26pinマルチコネクタ

ネイチャー撮影用スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550n」のフィールド収録用で使用されるポータブルデッキとしては、デジタルベータカムのDVW-250やDVCAMのDSR-50などがあるが、どちらもカメラ入力用として26ピンのマルチコネクタが搭載されている。そのため小型プッシュプルコネクタ→26pinマルチコネクタにダイレクトで変換したケーブルも現場で多用される。

BNCコネクタ3本 → 26pinマルチコネクタ

小型プッシュプルコネクタ→BNCコネクタ3本と併用して使用することで、現場での長さ調整が可能となるケーブルも便利だ。
小型プッシュプルコネクタは、その大きさと構造上断線や接触不良などのトラブルも起こりやすい。そのリスクを回避するためにも、いくつかのケーブルを組合せる構造にしておけば、バックアップ用のケーブルも準備し易いだろう。

クレーン撮影用の延長ケーブル

NC-R550nをジブやクレーンに搭載し、俯瞰や移動撮影を行うシーンでは、三分割構造のケーブルを使用している。カメラから1mほどは“小型プッシュプルコネクタ→BNCコネクタ3本”のケーブルでクレーンのリモートヘッド周りに固定。そこからBNCマルチケーブル(V5-3Cなど)を使ってアームの長さ分を延長し、さらに手元から収録デッキまでは、BNCコネクタ3本→26pinマルチコネクタの変換ケーブルを用いている。
コンポーネント信号には、カメラ設定用のキャラクタ表示が出力されないため、カメラオペレート用にはVBS(コンポジット)出力を手元まで導く必要がある。BNC5本が束ねられたマルチケーブルであれば、残りのBNC2本でVBS信号を送れるので便利というわけだ。

著者プロフィール

竹本宗一郎(映像プロデューサー)

1968年東京生まれ。1991年大阪芸術大学芸術学部卒業。 東京吉祥寺の映像制作会社ZERO CORPORATION代表取締役。自然をフィールドにした様々な映像を制作。特に超高感度カメラによる天体撮影に精通し、CMや番組、科学館、博覧会など向けの映像を手がける。また月刊天文ガイド「ASTRONOMY VIDEO」連載のほか、「天体ビデオ撮影マニュアル」「天体ビデオ撮影入門」や「コンパクトデジタルカメラで野鳥を撮ろう!」などの著書も執筆。 業界では稀なナイトネイチャーカメラマンとして活躍中。

◇ このコンテンツは「スーパー超高感度カメラNC-R550aシリーズ」のウェブサイトに掲載されたものです。なおNC-R550aシリーズは2013年8月末を持ちまして販売を終了いたしました。