超高感度撮影テクニック

Bioluminescent Bay〜真夜中の青い海を撮る〜その2』

映像プロデューサー:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION

放送用ハイビジョンカメラとの比較

2009年2月、日没にあわせて高尾山山頂に撮影機材を運び上げ、放送用ハイビジョンカメラとNC-R550nの比較検証実験を行った。

番組関係者は、NC-R550nの圧倒的な超高感度特性と極めて優れた色再現性を目の前にし、プエルトリコでの撮影成功に期待を抱かずにはいられなかった。
さらにハイビジョンへのアップコンバートも、放送クオリティーを十分クリアできることも確認できた。

ピロディニウム用超高感度撮影システム

今回、ヴィエケス島での超高感度カラー撮影のために準備したのは、NC-R550nフィールドスーツシステムに高精細8型液晶モニターを装着したENGシステム。さらに堅牢ノート型PC「Shield PRO」を使った専用リモートシステムを用意した。

また、ハイビジョンへのアップコンバートを考慮し、できるだけ高いクオリティーで素材を録画するためにデジタルベータカムのポータブルレコーダー「DVW-250」をチョイス。NC-R550nのコンポーネント出力から26pinマルチケーブルでアナログコンポーネント入力し、音声はミキサーからDVW-250に入れることにした。

ロケハンでの厳しい現実

ピロディニウムの淡い光を最高の条件で収録するため、撮影は新月の夜をメインとして進めていくことが決まった。

ロケの2週間前、ディレクターがロケハンで現地を訪れた。

このロケハンにHDVカムコーダー「HVR-Z1J」を持参し、青い海をテスト撮影。その結果が帰国後のオールスタッフミーティングでプレビューされたのだが…。

そこには“何も映っていなかった”のだ。スローシャッターモードでの撮影にもかかわらず、だ。

これまでNC-R550nには、ウミホタルやホタルなどの生物発光現象の撮影実績があるが、実はこれらの光源は想像以上に明るい。難しいのは、ドキュメンタリー性を考慮した撮影、つまりその生物の発光と周囲の風景を同時にとらえることなのだ。

そんな厳しいシチュエーションでもNC-R550nは期待以上の成果をあげてきた。しかし今回の現象がそのどれをも上回る厳しい状況であることを直前のロケハンで思い知らさることになった。

具体的な対策を考える猶予もないまま、翌日には我々は機上の人となっていた。

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