超高感度撮影テクニック

新登場!フィールドスーツシステム

映像プロデューサー:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION

実際にネイチャー撮影用スーパー超高感度カラーテレビカメラ「NC-R550n」フィールドスーツシステムの試作機を自然環境下に持ち出しインプレッション撮影を試みた。
今回、この新製品による最初の被写体として選んだのは、ウミホタル。東京湾アクアラインのSA(サービスエリア)の名称だと思っている人は数知れず(笑)、実際に海でその様子を見た人はそう多くはないという生物だ。
ウミホタルは、「カイミジンコ」の一種で体長わずか2〜3ミリの甲殻類。極少の体ではあるが歴とした二枚貝だ。地上のホタルの発光では、黄色から明るいグリーンにかけた色彩を放つが、ウミホタルは神秘的なマリンブルーの輝きを見せるのが特徴だ。
3板式(3CCD)で色再現性の高いNC-R550nなら光量的にも十分。あとはどんな風にその光を表現するかが重要だ。

マリンブルーに輝く海水

ホタルと違い、ウミホタルは何らかの外的な刺激によって体内から化学物質を体外に放出し、それが海中の酸素と化学反応して光を放つという。このウミホタルの発光メカニズムからすると、大量のウミホタルを使えば、海水自体がマリンブルーの発光液体となるわけだ。ということで、まずは滴り落ちるマリンブルーの海水にNC-R550nのレンズを向けた。
青白い海水はゆっくりと広がり、やがて暗闇の中へと消えてゆく。マリンブルーに輝く海水…それは実に不思議な光景だった。その淡い光のグラデーションさえ、NC-R550nは忠実にとらえることができる。

光の中のウミホタル

ウミホタル自体は、成体でも体長わずか2〜3mm。そのクローズアップをとらえるには、マクロレンズか顕微鏡が必要だ。

今回は、マリンブルーの光の中を漂う無数のウミホタルをシルエットの動きとしてとらえてみた。青い光のなかでうごめく小さな黒い粒子のひとつひとつがウミホタルだ。

海水に広がって消えていく青い光

最後に、ウミホタルの発光液体を掌に乗せ、そのまま静かに海面へ沈めていくシーンを撮影した。空気中から海中に掌を入れた瞬間、一気に青い輝きを増し、やがて海水へと消えていくその様子は、まるで科学実験を撮影しているかのようだ。

ウミホタルの映像

最後に、今回撮影したウミホタルの映像をギャラリーにてお楽しみいただこう。
フィールドスーツシステムによって、ロケ現場での単独運用を可能にしたNC-R550nの可能性をお伝えできれば光栄だ。

マリンブルーのウミホタル(ビデオギャラリー)

著者プロフィール

竹本宗一郎(映像プロデューサー)

1968年東京生まれ。1991年大阪芸術大学芸術学部卒業。 東京吉祥寺の映像制作会社ZERO CORPORATION代表取締役。自然をフィールドにした様々な映像を制作。特に超高感度カメラによる天体撮影に精通し、CMや番組、科学館、博覧会など向けの映像を手がける。また月刊天文ガイド「ASTRONOMY VIDEO」連載のほか、「天体ビデオ撮影マニュアル」「天体ビデオ撮影入門」や「コンパクトデジタルカメラで野鳥を撮ろう!」などの著書も執筆。