おおいぬ座を見つけよう

このコーナーに来る前に、オリオン座はもう覚えましたね?オリオン座さえわかれば、おおいぬ座を探すのは簡単です。
オリオンの三ツ星を、東側、つまりおうし座と反対側に伸ばしていくと…とても明るい星にたどり着きますね。これがおおいぬ座の一等星シリウスです(…まあ、オリオンから辿らなくとも、冬の夜、南の空でギンギンに光る青白い星を見たら、それだと思ってほぼ間違いないですが…)。おおいぬ座はシリウスの鼻先に輝く星ですが、さて、そのおおいぬ座はどんな形でしょう?

これは冬の夜 南の空に見られる星座たち。
おおいぬ座は、オリオンの三ツ星を東に伸ばした先…

おおいぬ座を見つけよう

マウスを重ねてみてね。犬の姿が見えたかな?

まるでオリオンに餌をおねだりしている犬のように見えるでしょう?これがおおいぬ座の星の並びです。ただし実際には、街中でおおいぬの姿を見つけるのは難しいかも。おおいぬ座の星たちは、シリウスの他は、目だって明るい星がないのです。
でもこの形、ぜひ覚えておいてくださいね。そして、星がよく見えるところに行ったら、こんな並びを探してみてください。意外なほど犬らしく見えるんですよ!

おおいぬ座のお話

おおいぬ座このおおいぬ座、星をつないでみると「なるほど犬だ!」と納得してしまうのですが、星座絵を見るとちょっとビックリかも…。ささ、左の図にマウスを重ねてみましょう。すると犬とも猿とも知れない不気味な動物が…(失礼)
でもガッカリしないで下さいね!この星座絵は、フラムスチードという昔の天文学者の案をもとにしているのですが(プラネタリウムではこのタイプが多いようです)、他の古星図などを見ていると、ポーズこそ同じでも、細部は描く人によって全然違っていたりするんです…つまりこの絵が絶対ではないということ。「こんな犬はイヤだぁ!」という方、いっそのことご自分の愛犬に見立ててしまってもいいかも知れません。(といいつつ、自分が一番そう思っていたりして…)

えー、余計な事でスペースを使ってしまいましたが、そろそろおおいぬ座のお話を…
といきたいところですが、うーん。おおいぬ座の素性(笑)についてはギリシャ神話だけでもいくつか説があるのですが、正直な所、どれもあんまり面白くないんですよね(苦笑)。今回はちょっと趣向を変えて、シリウスについてお話しましょう。

シリウス(Sirius)は、星座を作る星(惑星は別!)としては、全天で一番明るい星です。冬の夜空で一つだけやけに明るく輝いているので、一目でそれとわかるほど。シリウスという名前は焼き焦がすものというギリシャ語からきたもので、なるほどそんなイメージだなーと妙に感心してしまうのですが…実はこの名前、そういう意味ではないらしいんです。
この名前が付けられた当時のこと。シリウスが日の出直前Iに東の空から昇る時期に、地上は夏至を迎えていました。つまり、焼け付くような暑い季節(夏)は、このシリウスと太陽が一緒に現れることでもたらされるすもの…と昔の人は考えたようです。昔の人って、星の運動を注意深く観測していたんですね!

古代エジプトの夜明け東の空から現れるシリウスについては、もうひとつ有名な逸話?があります。
 古代エジプトでは、シリウスが明け方東の空に現れる時期を注意深く観測し、初めてシリウスが見えた日を1年の初めと定めていました。これは、シリウスが明るい星だったからではありません。毎年ちょうどこの時期になると、ナイル川が氾濫をおこし、周辺が大洪水になってしまうからなんです!
ただし、この洪水は必ずしも被害だけをもたらすものではありませんでした。上流からの肥沃な土を含んだナイル川の氾濫が、その流域を豊かな農地に変えたのです。時期が違えば農作物を押し流してしまう洪水も、その時期さえ知れば、この上ない味方になったというわけです。

ちなみに、このような観測等をもとに古代エジプト人が算出した一年の長さは、365.1428日。現在用いられている365.2422日とくらべても、昔の人の観察力って、ものすごいと思いませんか?