いるか座を見つけよう

夏のきらびやかな星座の片隅には、小さくかわいらしい星座がいくつか見えています。中でも隠れファン?が多いのが、今回ご紹介するいるか座です。

これは夏の夜に見られる星空です。(夏の大三角が南中する時刻です)
いるか座は、夏の大三角の東に並んだ、小さなひし形の星の並びが目印。
そこから星が一つ、しっぽを伸ばしたように並んでいます。

いるか座の探しかた

マウスを重ねてみてください。かわいい星の並びが見つかったでしょう?このいるか座、ちんまりとしていて、本当にかわいらしいんですよねぇ。まるで、イルカがしっぽを跳ね上げて、星の海を泳いでいるみたい…なーんて言うと、ちょっと乙女チックすぎるかしら…あー、ハズカシ!

いるか座のお話

しかしですねぇ。
初めているか座を見つけたとき、私はしっぽを跳ね上げた姿を想像したのですが、星座絵は全然違うんです。なにもこの星の並びからこんなポーズを想像しなくても…と思うような格好。
しかもイルカには見えない。星座絵によっては、まるでブタのような顔をした不気味な生物が描かれていたりするんです…(涙) そういえばイルカって、「海豚」って書きますもんね。それには合っているのかしら…。
星座絵を描いた人は、きっとイルカを見たことがなかったんだろうなということで、一応は納得しています。で、 星座絵は無視して勝手に飛び跳ねるイルカだと思って見ています…いいのよ!私にはそう見えるんだからっ!

さて、このいるか座には、実在の人物に関わる、こんなお話が残されています。

コリントスの宮廷音楽家アリオンは、オルフェウスにも引けを取らないほどの琴の名手でした。(っつーか、どうやって比べたんだ…)

アリオンはあるとき、シチリア島で開かれた音楽祭に参加し、見事優勝を果たしました。そして、たくさんの褒美を持ってコリントスへの帰途に着いたのです。

ところが、帰りの船の中でのこと。アリオンは、宝を横取りしようとたくらんだ船員たちに、命を奪われそうになってしまいます。もはやこれまでと覚悟を決めたイアソンは、「死ぬ前にもう一度だけ琴を弾かせてほしい」と船員たちに申し出ました。

こうしてアリオンは、船の舳先で最後の琴を奏で始めました。その琴の音は、海の生き物たちはもちろん、荒くれの船員たちも、ついうっとり聞きほれるほどです。
演奏を終えたアリオンは、意を決して海に身を投げました。すると、琴の音に引かれて集まっていたイルカたちが、こぞってその背でアリオンを担ぎ上げたのです。

イルカたちはアリオンを背に乗せ、コリントスまで無事に送り届けました。その後に戻った船乗りたちは、一部始終を聞いた王様によって厳しく罰せられたといいます。

このときアリオンを助けたイルカが、星座として天に上げられたということです。

アリオンというのは、紀元前6,7世紀頃に実在した人物だといいます。また、イルカは音に敏感な生き物だそうですから、何らかのエピソードが組み合わさって、このような話として残っているのかもしれませんね。
つい先日、生まれて初めてトローリングをしたのですが、私たちの乗ったクルーザーの舳先で、イルカが気持ちよさそうに帆走していました。ああいう様子を見ると、アリオンのようなことも本当にありそうだなー、なんて思ってしまいます。