こと座を見つけよう

さて皆さん、このページに来るに先立って、基本の星座の夏の大三角を覚えてきましたね?…覚えてない?!それはイケマセン!まずはそちらで、ベガ(織姫星)の探し方を調べた後、あらためてこちらにお越しくださいマセ。このページでは、ベガの探し方は省略いたします。
あ、そうそう、わし座はくちょう座もこと座同様探し方は省略しますので、しっかりと夏の大三角を覚えておいてくださいね!

こと座のお話

こと座 画像さて、こと座は名前の通り、楽器の琴を象った星座ですが、私たちの知っているような和琴ではなく(あたりまえか)西洋の竪琴がモチーフになっています。でも、この星の並びが琴だとは、今ひとつ想像できないような…。
ワタクシが個人的にお勧めしたいのは、この四辺形を 織姫星の機(はた・機織りの機械)に見立てるというもの。織姫星(ベガ)がちょこんと座って、せっせと機を織っている姿が想像できませんか?…出来ない?まあそう言わずに…
ちなみにベガ(Vega)という名前、落ちる鷲という意味のアラビア語が語源なのだとか。ベガを真中に、小さなVの字のように並んだ三つの星を、鷲が翼をたたんで落ちていく姿に見立てたようです。一方で、わし座のアルタイル(つまり彦星)とその左右の星が飛ぶ鷲。ベガとアルタイルは、古今東西を問わず?対比されて見られていたようですね。

ベガの話題で行数を費やしたところで(?)、そろそろこと座の神話に移りましょう。
この星座には、悲しい物語が伝えられているのですが、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか…

オルフェウスは、ギリシャ一の竪琴の名手。オルフェウスの奏でる美しい琴の音色には、森の木々や動物たちさえうっとりと聞きほれるほどでした。
オルフェウスはやがて美しい森のニンフ(妖精)エウリディケを妻に迎え、幸せな毎日を送ります…が、しかーし!結婚してまもなく、エウリディケは毒蛇に脚をかまれ、あっけなく命を落としてしまったのです。

オルフェウスは、エウリディケの早すぎる死を受け入れることが出来ず、なんとか妻を取り戻そうと一人冥土へ向かいます。もちろん、死者ではないオルフェウスに冥土に立ち入る資格はありません。行く先々で冥土の番人たちに道を阻まれるのですが、その度ごとにオルフェウスは竪琴をかき鳴らします。すると、誰もがその音色に心を打たれ、オルフェウスのために道を開けるのでした。

こうしてオルフェウスは、冥土の王ハデスの元へたどり着きました。(しかし、そんなんでいいのか?!ハデス!) 妻を思いながら奏でるオルフェウスの琴の音が、冥土に切なく響き渡ります。この音色にはハデスさえもが心を動かされますが、そこは冥土の王、二つ返事で死んだエウリディケを返すわけには行きません。
しかしここに思わぬ援軍が!ハデスの妻、ペルセポネです。ペルセポネは自身も愛する母と引き離された身( おとめ座参照)、オルフェウスの気持ちに何とか報いてやりたいと、ハデスを説き伏せます。そしてついにオルフェウスは、エウリディケを地上に戻す約束を取り付けたのです。

しかしこの約束には条件がありました。それは「地上にたどり着くまでの間、絶対に後ろを振り返ってはならない」というものでした。
オルフェウスは、来た道を一人引き返します。そしてその後ろには、エウリディケがついて来ているはず…。しかし背後からは、足音も、人の気配さえも感じられないのです。地上が近づいてくるにしたがって、オルフェウスは不安にかられるようになりました。そして地上の光が見えたそのとき、ついに我慢しきれず後ろを振り返ってしまったのです。

 「どうして振り返ってしまったの?」

そこには悲しみに満ちたエウリディケの姿がありました。ハデスとの約束どおり、エウリディケは、あっという間に冥土に引き戻されてしまったのです。
オルフェウスは再び冥土に戻り、狂ったように琴をかき鳴らしますが、もう相手にしてくれる者はありません。

こうしてオルフェウスは、エウリディケを永遠に失ったのです…。

オルフェウスは以後、二度と琴を奏でることはありませんでした。オルフェウスの死後、その琴だけが天に上げられ、星座になったということです。

…あー、この話はちと長いですな。でも、どこかで聞いたことがあるでしょう?
ちなみにオルフェウスは、酔っ払った女たちに「琴を弾け」と絡まれ、それを断ったらボコボコにされて死んでしまったんだそうです…うう、あまりにも哀れな…

とりあえず、冥土の王との約束は守りましょうね。で、酔っ払いの女にはお気をつけ下さいねぇ…なんの教訓にもなってませんが!