秋の四辺形(ぺガスス座)を見つけよう
これまでに、星座を探すときに手がかりになる星の並びを各季節でご紹介してきましたね。冬、春、夏にはそれぞれ○の大三角と呼ばれる星の並びがあります。となると当然、秋にも大三角がありそうなものですが…意外や意外、秋にはないんです。
その代わりといってはなんですが、秋にあるのは四角形。これを秋の四辺形と呼んでいます。どうして「秋の四角形」ではなく「四辺形」なのかは謎ですが(笑) この四辺形はまさしく秋の星空の案内役として重宝しますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
では、さっそく秋の四辺形を探してみましょう。
これは秋の夜に見られる星空です。
秋の四辺形は、南の空高いところに並んだ四つの星で形作られています。
どれがそうか、わかりますか?
マウスを重ねてみてください。ほら、見つかりましたね?
(上の図では、四角がちょっと潰れて見えますが、実際の空で見ると印象が違うかもしれません。下の星図を参照ください。)
各季節の「大三角」は、そのほとんどが一等星からなっていますが、秋の四辺形は、全て2等星。知らないで見ると、あまり目に付かないかもしれません。とはいえ、秋の星空には明るい星が少ないので、一度見つければ、その次からはすぐに探しだすことができるでしょう。
さてこの秋の四辺形は、別名ペガススの四辺形と呼ばれています。この四辺形がペガスス座の一部になるためなのですが…では今度はペガスス座についてお話しましょう。
ペガスス座のお話
えーとですねぇ…
私事になりますが、初めて左図の星座線を教科書で見たとき、私はこれが一体何なのかまったく理解できませんでした。しかも名前は「ペガスス」。「ペガサス」ではなく「ペガスス」なのです。
うーーーむ。四角にヒレヒレのついたこの星座は、一体どんな姿を…??
ところが、星座絵を見たとき、私は「なるほど---っ!」と激しく納得してしまいました。さ、マウスを乗せてみましょう…
そう、なんとこの星座、逆さまなんです!しかもなぜか体の半分だけ。でも、そのカッコウさえ頭に入れれば、なるほどそういう星の並びなんですよねぇ…。
ペガスス(Pegasus)とはもちろん、翼の生えた天馬です。「スス」という響きがどことなく東北なまりのよう(笑)で気になりますが、これはラテン語で、ギリシャ語での発音はペガソスとなるそうな。(じゃあペガサスってどこからきたの…)
体が半分しか見えないのは、天高く飛んでいるため雲に隠れているとか、あまりに早すぎて後ろ半分が見えないためなどといわれています。が、しかし、私は単に、それ以上星がつなげられなかっただけだろうと思って見ております…
ペガススは、魔女メデューサの血の中から生まれた天馬ですが、さてこのペガススにはどんな物語が残されているのでしょう?ここでは、ベレロフォーンにまつわる物語をご紹介します。
コリントスの勇者ベレロフォーンは、美しく、また武術にも優れた若者でした。
あるときベレロフォーンは、わけあって怪物キマイラの退治を命じられます。キマイラは、顔が獅子、体は山羊、尻尾はヘビの姿をし、口からは火を吐く恐ろしい怪物なのです。(しかし、体が山羊…というのは… ^^; イマイチ恐くないような気がするのは私だけ?)
預言者から掲示を受けたベレロフォーンは、天馬ペガススが現れるというピレーネの泉に出かけました。そして、女神アテナに授かった魔法の手綱でペガススを従え、キマイラのもとに向かったのです。
ベレロフォーンはペガススにうちまたがり、上空からキマイラに矢を放ちます。キマイラも口から火を吐き応戦しますが、その火がキマイラの仇となりました。最後にベレロフォーンが放った鉛の矢が、キマイラの口に刺さり、口から吐く炎で溶けて、内臓を焼き尽くしてしまったのです。
こうしてベレロフォーンは、キマイラを無事退治することができました。(こう書くとあっけないな ^^;)そしてその後もペガススと共に、数々の功績を残したのです。
ところが。
ベレロフォーンはいつしかそんな自分に自惚れるようになってしまいました。そして、「自分は世界中の誰よりも強い。自分こそが神にふさわしい」などとと思い上がり、あろうことか、ペガススにまたがり、神々のすむオリュンポス山へと向かったのです。
この愚行を神々が許すはずもありません。
神々の王ゼウスは、ベレロフォーンに一匹のアブを放ちました。アブは、何も知らないベレロフォーンの元へ飛んでいき、ペガススの腹をチクリと指したのです。するとペガススは、驚きのあまりベレロフォーンを振り落としてしまいました。ベレロフォーンは、地上へとまっ逆さまに落ちていきました…。
世界中の誰より強いと思い上がったベレロフォーンは、こうして、たった一匹のアブに命を奪われてしまったのでした。
まあ、ベレロフォーンは、このときには死なずに命だけは助かったそうですが、この墜落で視力も足も失い、その後は放浪の果てになくなったという事です。
なにしろ、ペガススなしではそれまでの活躍もなかったわけですしね。いくら強くても、思い上がりはいけません、という教訓めいたお話でした。
ちなみに、ベレロフォーンがキマイラ退治を命じられた理由というのが…
ベレロフォーンがとある国に世話になったとき、その国の妃が、なんとベレロフォーンに言い寄って来たのです!ところがベレロフォーンはそれを無下に断ってしまいます。それを逆恨みした妃が、夫である国王に「ベレロフォーンに言い寄られた」とウソを告げます。怒った王は、手を汚さずにベレロフォーンを殺そうと企て、妃の父親を通じて、ベレロフォーンにキマイラ退治を命じたというわけ。(ややこしいな)
いやあ、ギリシャ神話って、本当にドロドロですねぇ!