かんむり座を見つけよう

からす座にひき続き、地味だけれど案外目立つ星座第2弾、かんむり座です。アークトゥルスの輝くうしかい座がわかれば、かんむり座はすぐに見つけられますよ。

※今回は正面が南ではありませんので注意※
これは春の夜に見られる星空です。
かんむり座は、うしかい座の東側に並んだ、半円状の星の並び。
ポイントは、丸く並んだ中ほどに、割合明るい星が一つあることかな。

かんむり座の探し方

マウスを乗せてみてください。これがかんむり座の並びです。
花嫁さんが髪に飾る、ティアラみたいでしょう?

明るい星はありませんが、実際の空で見てみると、クルンと丸く集まった星の並びが、なるほど冠みたいに見えますよ。からす座と同じで、一度覚えると嫌でも目に付くんですよねぇ。うしかい座を覚えたら、こちらもぜひ探してみてください。

かんむり座のお話

かんむり座 画像地味だけどなぜか目をひく星座、かんむり座。特徴的な星の並びはもちろんなのですが、この形を冠に例えた、そのネーミング(?)が一番効いているのではないかなと思います。星の冠なんて、なんだかロマンチックでしょ?これが別の名前だったらそんなに印象に残らないと思うんですよねぇ…。

たとえばアラビアの方ではこの並びを「貧乏人の皿」と呼んだりするそうです。丸じゃなくて、途中で欠けているお皿のように見えるからということなのでしょうけれど…うーむ。そういう名前だったら、あまり覚えたくもないかなあ。ちなみに日本では「太鼓星」と呼んでいたそうですよ。

かんむり座の中で一番明るい星は、アルフェッカといいますが、これは別名ゲンマ(Gemma)宝石という意味のラテン語です。 一つだけ明るいこの星を、冠の中央に輝く宝石に見立てたのでしょうね。…ちなみにアルフェッカ(Alphecca)は、「欠けたもののの明星」という意味からきた言葉だって(笑)!…え?知らなきゃよかった?

このかんむり座には、ちょっと変わった神話が残されているんです。(…変わったというか、なかなか本題に入らないというか) 少々長いのですが、ご紹介しましょう。

その昔、クレタ島とアテナイ(アテナ)が争っていた頃のこと。戦いに敗れたアテナイでは、3年に一度、若い男女7人ずつを、クレタ島の王ミノスの元へ送らなければなりませんでした。若者達は、怪物「ミノタウロス」の生贄として差し出されるのです。

この残酷な生贄をやめさせようと立ち上がったのが、アテナイの王子テーセウスでした。テーセウスは、生贄の一人としてクレタ島に乗り込み、ミノタウロスを退治しようと考えたのです。
しかし、ミノタウロスが住んでいるのは、王宮の地下に広がる巨大なラビリントス。一度足を踏み入れたら、二度と出てくることが出来ないという迷宮です。たとえミノタウロスを退治したとしても、再び外へ出ることさえかなわないかもしれません。

そこでテーセウスに手を差し伸べたのが、ミノス王の娘、アリアドネでした。
アリアドネは、生贄としてやってきたテーセウスに一目で恋をしてしまいました。何とかテーセウスを助けたいと考えたアリアドネは、生贄として送り込まれようとするテーセウスに、魔法の糸玉を手渡しました。その端を入り口に結び付け、退治した後糸を辿って入り口を目指せばよいというのです。テーセウスはアリアドネの思いに感謝し、無事戻ったらアリアドネをアテナイに連れて帰ると約束をして、ミノタウロスの元へと向かいました。

やがて、ミノタウロスを退治したテーセウスは、無事迷宮を抜け出し、アリアドネを連れてアテナイへと向かいました。(あ、いや、手抜きじゃなくて!戦いのシーンについては、神話でも触れられていないため、よくわからないんですよ!

ところがその途中立ち寄ったナクソス島で、テーセウスは神のお告げを受けたのです。それは、アリアドネはアテナイへ不幸をもたらすというものでした。テーセウスはお告げに従い、眠っているアリアドネを置き去りにして、船を出港させてしまったのです。

アリアドネが気づいた時には、テーセウスの船は島を離れた後でした。
父を裏切ってまで助けたテーセウスの仕打ちに、アリアドネは絶望の縁に追いやられました。
そんな彼女の元へ現れたのが、酒の神ディオニソス。この陽気な神は、アリアドネの美しさに惹かれ、悲しみに暮れるアリアドネを自分の妻に迎えたのです。

そのディオニソスが結婚の記念にアリアドネに送った冠が、やがてかんむり座となったと言われています。

この神話、かんむり座に関係するのは最後のちょっぴりだけなんですよねぇ。かんむり座の部分だけだと、数行で終わっちゃうしね(笑)

テーセウスがアリアドネを捨てたのは、上記では「神のお告げ」ってことにしてありますが、実はその理由については幾つか説があるようです。テーセウスの気が変わった、とかね。(まあ敵国の王女をさらっちゃマズイわな、やっぱり)
いずれにしろ、アリアドネがカワイソウ…でもここでちょっと見方を変えると…
ミノタウロスは、実はミノス王の后が生んだ息子?で、アリアドネにしてみれば、怪物だけど兄に当たるわけなんです。父を裏切り兄を殺させたってことになると…恋する人のためとはいえ、テーセウスがひくのもわかる気がする…

ちなみにアリアドネは、ディオニソスと結婚して幸せに暮らしたみたいですよ。
もうひとつちなみに、アリアドネを置き去りにしたテーセウスは、「無事生還したときは船に白旗を掲げる」という父との約束を忘れて、黒旗のままアテナイに入港してしまいました。これをみた父は、息子が死んだと早合点し、悲しみのあまり海に身を投げてしまったんだそうな。
ま、おあいこってことで。(どこが?)