その昔、クレタ島とアテナイ(アテナ)が争っていたころのこと。戦いに敗れたアテナイでは、3年に一度、若い男女を7人ずつ、クレタ島の王ミノスのもとへ送らなければなりませんでした。若者たちは、怪物「ミノタウロス」の生け贄(いけにえ)として差し出されるのです。
この残酷な生け贄をやめさせようと立ち上がったのが、アテナイの王子テーセウスでした。テーセウスは、生け贄の一人としてクレタ島に乗り込み、ミノタウロスを退治しようと考えたのです。
しかし、ミノタウロスが住んでいるのは、王宮の地下に広がる巨大なラビリントス。一度足を踏み入れたら、二度と出てくることができないという迷宮です。たとえミノタウロスを退治したとしても、再び外へ出ることさえかなわないかもしれません。
そこでテーセウスに手を差し伸べたのが、ミノス王の娘、アリアドネでした。
アリアドネは、クレタ島にやってきたテーセウスに一目で恋をしてしまいました。
何とかテーセウスを助けたいと考えたアリアドネは、生け贄として送り込まれようとするテーセウスに、魔法の糸玉を手渡しました。その端を入り口に結び付け、退治した後、糸をたどって入り口を目指せばよいというのです。
テーセウスはアリアドネの思いに感謝し、無事戻ったらアリアドネをアテナイに連れて帰ると約束し、ミノタウロスのもとへと向かいました。
やがて、ミノタウロスを退治したテーセウスは、無事迷宮を抜け出し、アリアドネを連れてアテナイへと向かいました。(あ、いや、手抜きじゃなくて!戦いのシーンについては、神話でも触れられていないため、よくわからないんですよ!)
ところが、途中で立ち寄ったナクソス島で、テーセウスは神のお告げを受けたのです。それは、アリアドネはアテナイへ不幸をもたらすというものでした。
テーセウスはお告げに従い、眠っているアリアドネを置き去りにして、船を出港させてしまいました。アリアドネが気づいた時には、テーセウスの船は島を離れた後でした。
父を裏切ってまで助けたテーセウスの仕打ちに、アリアドネは絶望の縁に追いやられました。
そんな彼女のもとへ現れたのが、酒の神ディオニソス。この陽気な神は、アリアドネの美しさに惹かれ、悲しみに暮れるアリアドネを自分の妻に迎えたのです。
ディオニソスが結婚の記念にアリアドネに贈った冠が、やがてかんむり座となったと言われています。