へびつかい座を見つけよう
「へびつかい座」なんて、不思議な名前ですよねぇ。初めて聞くと、頭にターバンを巻いた男の人を想像しちゃうかも?
でもこの星座は、そういう人ではありません。そして意外と見つけやすい星座でもあるんですよ。
場所はさそり座のすぐ近くですから、さそり座と一緒に探してみましょう。
目印は、さそり座の北(今回の星図では上)に見える、将棋の駒のような五角形の星の並びです。結構大きいので、そのつもりで探してくださいね!
これは夏の夜の、南の空です。
さそり座の上の大きな五角形が、わかりますか?

五角形のボタンを押して、確かめてね。
この五角形が、へびつかい座の頭から胴体にあたる星の並びです。さそり座の上にニョッキリと生えた(?)五角形は、一度そう思って見ると、なるほど大きな男の人のように見えてくるから不思議です。
では、星座絵はどんな姿をしているんでしょう?
へびつかい座のお話
じゃんじゃじゃーん。
これがへびつかい座ですが、こうして星座線を見ると、もう何の説明も要らないですね?蛇をつかんだオジさんの星座です。
目印にした五角形がどこにあるか、探してみてくださいね。
頭にあたる星はラス・アルハゲ(Rasalhague)。これは蛇を持つものの頭という意味で、見た目どおりの名前です(笑)。
ラス・アルハゲは2等星ですが、続くヘルクレス座にも関連してきますので、ぜひ名前を覚えておいてくださいね。
ちなみに、オジさんがつかんだ蛇はへびつかい座の一部ではなく、へび座という別の星座になっています。それぞれ別々には紹介しにくいためか、この二つの星座はたいていセットで登場します。
さて、このへびつかいのオジさんは、観光地にいるような、いわゆる蛇使いではありません。意外や意外、神の国にさえその名を轟かせた名医(優れたお医者さん)、アスクレピオスの姿なんです!名医であるがゆえに、長寿と健康、そして医学の象徴である蛇とともに星座になったと言われています。(後付けっぽいですけどね!)
ではでは、そのアスクレピオスの名医ぶり?を簡単にご紹介しましょう。
アスクレピオスは、太陽の神アポロンと、その妻コロニスの間に生まれました。二人の間に起こった不幸な事故(からす座参照)から、コロニスはお腹に子を宿したまま息絶えてしまいますが、アポロンはその子を救い出し、賢者ケイローン(いて座参照)のもとにあずけたのです。
ケイローンに教えを受けたアスクレピオスは、やがてすばらしい医者に成長し、多くの人の命を救いました。ところがあるときアスクレピオスは、優れた医者であるあまり、大変なことをしてしまいます。なんと、死んだ人間をよみがえらせてしまったのです。(どひゃー!)
これに腹を立てたのは、冥土の王ハデスでした。このままでは、冥土に来る死者がいなくなってしまいます。
神々の王ゼウスも、自然界の掟に逆らうアスクレピオスの行いを許すわけにはいきません。その腕を惜しみながらも、天上から稲妻を投げ落とし、アスクレピオスの命を奪ってしまったのでした。
と、こんなお話ですが… どうでしたか?
個人的には、納得がいくような、いかないような。まじめに聞くと気の毒なような、ちょっと間違えると喜劇になってしまうような。そしてゼウスは、こんなときだけは大神としての役割を果たすんですね…
ところでアスクレピオスは、師匠であるケイローンに倣ってのことか、なんと、さそり座を踏みつけるようなかたちで星座になっているんですよ!
まあ、人の命を救いたいアスクレピオスにしてみれば、サソリは敵なのかもしれませんけどね…。
上からは踏みつけられ、東からは弓で狙われ。
まさに踏んだりけったり、いえ、踏まれたり射られたりのさそり座です。サソリ、がんばれ!(笑)