北斗七星という言葉、星座や星に詳しくなくても、一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは北の空でひしゃくのように並んだ七つの星という意味。その名前の通り、北斗七星は北の空に見られる星の並びです。ひしゃくというよりも、お鍋、あるいはフライパンの形といった方がわかりやすいかもしれません。
これは春の夜の、北の空です。北斗七星はどこかな?つないだ線のボタンを押してみてね。

北斗七星を見つけることはできましたか?
フライパンが逆さまで、ちょっとわかりにくいかな。実際の空で探すときに、逆さまにならずに見える方法をお教えしましょう(ただし、かなり強引です!)。
春の夜、北斗七星は頭の上の高い所に見えています。
南に体を向けて立ち、頭の上のほうを反り返って見ていくと、図のように見えると思いますよ。
ほら、フライパンみたいでしょう?でも、反り返りすぎて転ばないように気をつけてくださいね!!
とはいえ、そこまでしなくても大丈夫。北斗七星は比較的明るい星ばかりなので、実際の空で見たほうが、むしろ探しやすいかもしれません。一度覚えてしまえば、どの方角からでもすぐに見つけられるようになりますよ。
さてこの北斗七星、星空の案内役ともいうべき存在なんです。
まず、方角を知る手がかりになること。
そして、春の星座を探す手がかりになること。(※北斗七星を使った春の星座の探し方については、春の各星座でご紹介しています)
春の星座を探す前に、まずは北斗七星の場所を確認しておいてくださいね。
では、北斗七星からどのようにして方角がわかるのでしょう?
これは案外簡単です。
北斗七星を使って方角を知るには?

まず、フライパンのふちにあたる二つの星をつなぎます。そしてその直線を、フライパンの口が開いた方向に5倍延ばすと、一つの星にたどり着きましたね。(この図では5倍に見えないかも…)
これは北極星。一年中北の空にあってほとんど動かない星です。つまり、北極星が星が見えている方角が北、というわけです。
この方角の調べ方は、北斗七星が見えていれば、時間や季節を問わずいつでも使えます。星座めぐりだけでなく、何かのときに役に立つかもしれませんよ。
え?季節を問わずなんておかしい?北斗七星は春の星座なのに?
ところが、そうでもないんです!疑問をもたれた方は、ちょっと途中ですが、下のリンクから次のコーナーへジャンプしましょう。
「北斗七星のヒミツ」はこちらから
おおぐま座のお話
さて、ここまで北斗七星についてお話しましたが、今度は北斗七星のある星座についてお話しましょう。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座という大きな星座の一部なんです。
おおぐま座は、その名の通り、大きな熊の星座。北斗七星は、その熊の背中からしっぽの部分に当たります。
星座の絵で、どこが北斗七星にあたるか探してみてくださいね。
それにしてもこの熊は、しっぽが妙に長くてヘンテコリンな姿をしていますよね。この熊が星座として天に上げられるときに、神様がしっぽをつかんで放り投げたのだとか。それでこんなに伸びてしまったそうですが…うう、痛そう…
そしてもう一つ驚いたことに(?)、この熊は、カリストという美しい女性が変身した姿なんだとか。美女がなにゆえ熊になってしまったのか!?
ではでは、おおぐま座にまつわるギリシャ神話をご紹介しましょう。
カリストは女神アルテミスに仕えるニンフ(妖精)の一人で、素朴な身なりをしながらも、輝くばかりに美しい娘でした。(注:カリストとは「最も美しい女」という意味だそうです)
ニンフたちはアルテミス同様、処女の誓いを立てていました。しかしある日のこと、カリストの美しさに心を奪われた神々の王ゼウスが、アルテミスに化けてカリストに近づき、カリストを身ごもらせてしまったのです。(おいおい、なんて神様だ!)
このことを知ったアルテミスは、身勝手なゼウスを怒るかと思いきや、怒られたのは被害者?カリストのほう。アルテミスは誓いを破った罰として、カリストの姿を醜い熊に変えてしまいました。(一説には、ゼウスの正妻ヘラの仕業ともいわれています)
カリストはやがて男の子を産みますが、熊になってしまっては、育てることもできません。我が子を残し、泣く泣く森へと姿を消すしかありませんでした。
それから十数年の月日が流れ、カリストの息子アルカスは、いつしか立派な狩人へと成長しました。
ある日アルカスがいつものように森へ狩りに出かけると、突然目の前に大きな熊が姿を現しました。母カリストです。
カリストは、成長した息子に会えた嬉しさに、熊になった自分の姿も忘れて歩み寄りますが、何も知らないアルカスの目には、格好の獲物としか映りません。アルカスは自分の母をめがけ、槍を打ち込もうと構えたのです。
その瞬間。猛烈なつむじ風が二人を空に巻き上げました。
二人の様子を空から見ていたゼウスが、息子に母を殺させまいと、アルカスもまた熊に変え、二人を天高く放り投げたのでした。
こうして二人は星座となり、ようやく親子一緒に過ごせるようになったということです。
えーっ。ゼウスが親熊・子熊のしっぽをつかんで、ブンと空に放り投げたんでしょうか?想像すると、なんだかおかしい…(あと、ゼウス、そもそもお前が悪いんだぞ!)(お前呼ばわり)
ちなみにこの「しっぽをつかんだら伸びちゃった説」は、後からギリシャ神話に付け加えられたものだとか。また、 ネイティブアメリカンの伝説では、やはり北斗七星付近の星を熊に見立て、しっぽをつかまれ空に放り投げられた熊の姿だと伝えているようです。