おとめ座を見つけよう

うしかい座では、北斗七星の柄のカーブを伸ばしてアルクトゥルスを探しましたね。
今度はそのカーブをさらに先へと伸ばしてみましょう。今度はおっとりと優しく光る白い星が見つかりますよ。

これは春の夜に見える星空です。
北斗七星の柄の部分を伸ばすと、オレンジ色のアルクトゥルスが見つかりましたね。
今度はここから、さらに先へと伸ばしてみましょう。白っぽい星が見つかりませんか?
その星が、おとめ座の一等星スピカですよ。

おとめ座の探し方

そこから「Y」の字のように星をつなぐと、おとめ座の並びがわかりやすいかな?
(本当はもうちょっと複雑です!)

北斗七星から辿って最初に見つかるアルクトゥルスは、オレンジ色に力強く輝いて、どことなく男性的なイメージの星。それに比べてスピカは、白く優しい光が女性的に見えませんか?…え?見えない?まあそうおっしゃらずに(笑)
そんなわけで、春の夜空を飾るこの二つの星は、「春の夫婦(めおと)星」と呼ばれているんですよ。
そして、北斗七星からアルクトゥルス、スピカと続く曲線を、春の大曲線といいます。この画面で見るとそうでもないけれど、実際の星空で見ると確かに「大曲線」なんですよー、これが。

おとめ座のお話

おとめ座おとめ座といったら、星占いに使われる星座として有名ですよね。名前のイメージもあって、きっと女の子に人気のある星座なんじゃないかなぁ。
その人気(?)を裏切らず、おとめ座は翼の生えた女神という、なんともロマンチックな姿。一等星のスピカ(Spica)の名前もこれまた可愛らしい。
…がしかし、このスピカっていう名前、もともととがったものという意味から来ていて、運動靴のスパイクと同じ語源なんだそうな。麗しき乙女の星座にスパイク… うう、なんか変だぞ…

さて星座絵を見てみると。スピカが輝いているのは、左手に持った麦の穂先。なるほどね、たしかにとがっていますわな…。

では、どうしてこの女神が麦の穂を持っているのかといいますと。実はおとめ座は、農業の女神デメテルだと言われているんですねー。この麦の穂は、作物の実りをもたらすデメテルの象徴ってわけ。(※ほかに、正義の女神アストラエアという説もあり) 世界に四季があるのは、このデメテルの身に起こったとある事件からだったといわれているのですが、さてさて、どんなお話なのでしょう…

昔、地上に季節というものはありませんでした。女神デメテルの恵みによって、作物は一年中豊かに実り、人々は幸せに暮らしていたのです。

そのデメテルには、美しい娘ペルセポネーがいました(ギリシャ神話には美しい女性しか登場しませんなぁ)。 二人は日々楽しく暮らしていたのですが、ある時、野に花を摘みに出かけたペルセポネーが何者かにさらわれ、行方不明になってしまいます。…あ、今回の犯人はゼウスじゃないんです(笑)、真犯人は冥土(黄泉の国)の王ハデス。ハデスは、ペルセポネーを自分の妻に迎えようと、無理やり冥土へとさらってしまったのです。

そんなわけで、地下に連れ去られてしまっては、デメテルがいくら探しても見つかるはずがありません。やがてデメテルは、悲しさのあまり洞窟に引きこもってしまいました。
 女神が姿を消すと、草木は枯れ、農作物は全く実らず、地上はすっかり荒れ果ててしまったのです。

このままでは、地上の生き物達は死に絶えてしまいます。全てをオリンポスから見ていたゼウスは、ハデスに、ペルセポーネーを地上へ返すよう命じました。
 冥土の王といえども神々の王ゼウスの命に逆らう事はできません。ハデスはしぶしぶペルセポネーを地上へ返すのですが、その時ペルセポネーに、さりげなくザクロの実を手渡しました。
実はこれ、ハデスの巧妙な罠。冥土のザクロ(一説には食べ物)を口にしたものは冥土の住人になるという掟があるのです。しかし、何も知らないペルセポネーは、その実を口にてしまったのです。

こうしてペルセポネーは、母のもとへと帰りました。そして地上は緑を取り戻し、再び作物を収穫することができるようになったのです。しかしペルセポネーは、口にしたザクロの実4粒分、1年のうち4ヶ月を、冥土で暮らさなくてはなりません。
 娘が冥土でくらす4ヶ月の間、デメテルは再び洞窟へこもるようになりました。その時地上は、女神の恵みを受けることのない寒く厳しい季節、つまり冬を迎えるのです。

デメテルは気まぐれな女神だと言われています。農作物が年によって豊作だったり凶作だったりするのも、女神の気まぐれだという話ですが、天候に振り回される農家の人たちは、そんな風に感じるでしょうね。
そうそう、春に花がいっせいに咲き乱れるのは、地上に戻ってくるペルセポネーを歓迎しているからなんだそうですよ。