南半球で見えるものも含め、星座は全天で88個。明るい星があって目立つ星座もあれば、暗い星ばかりであまり目につかない星座もあります。
やぎ座はどちらかというと地味な星座。面積は小さくありませんが、目を引くような星がありません。でも不思議なことに、一度見つけると、空を見るたび妙に目につくんですよ。
ただし、暗い星がほとんどなので、街中でこの形を見つけるのは難しいかもしれません。星がよく見えるところに出かけたときに、ゆっくり探してみるといいかもしれませんね。
では、そのやぎ座の探し方をご紹介しましょう。
みなみのうお座の西側に、暗い星たちが少々びつな三角形に星が並んでいるのですが、見つけられますか?
これは秋の夜の、南の空です。
みなみのうお座の西側に、いびつな三角形を探してみましょう。

やぎ座のボタンを押してみてね。
やぎ座の星の並び、見つかりましたか?
いびつな三角形というよりも、東京銘菓ひよこの形に似ているかも?(笑)
明るい星の少ない秋の星空で、この星座がどことなくポカンとした感じに見え、なんとも不思議な雰囲気なんです。
そしてもうひとつ。この星座がどうしても私の目についてしまう理由は、とある人が発したひとことの影響なのです。
不謹慎を承知で言わせてもらうと…
彼は、ほぼ南中した状態のやぎ座を見て、「あ、パンツ座が見えてる」とのたまったのです。
イメージ、わきます?水着のビキニと思えばわかるかな?
あまりにピッタリなこの表現に、以後私はこの星座を見るたび「(パンツ座だ…)」と心の中で思ってしまうのです。だって、これを見てヤギだと思える人はいないでしょ!?(開き直り)
やぎ座のお話
こちらはパンツ座とは微妙に違う(笑)やぎ座ですが、その星座絵はといえば…
なんだかおかしな姿でしょ?
この星座、上半身がヤギ、下半身が魚になっているんです。パンツもアレだけど、この格好もねえ?
やぎ座は歴史の古い星座で、この形になったのにはさまざまな意味があるはずですが、(※下に少しだけ説明しています)ギリシャ神話では、おっちょこちょいの神様パーンが変身した姿だとしています。
パーンは森と牧場を司る牧神で、上半身が人間、下半身がヤギという不思議な姿した神様です。陽気なパーンは音楽も大好きで、葦の葉で作った笛シュリンクスを吹き鳴らしては、大騒ぎするのが大好きでした。
一方で、粗忽者のパーンは、突然思わぬところからどやしつけて、人を驚かせたりもしたそうです。「パニック(突然の恐怖)」という言葉は、パーンの名前に由来しているといいます。
さて、あるとき、川のほとりで神々の宴会が催されました。
招かれたパーンは得意の笛を吹き鳴らし、その場を大いに盛り上げます。
ところがそのとき、怪物テュフォーンが現れたのです。
テュフォーンは、ゼウスと対峙するティターン族の怪物です。神々はテュフォーンを恐れ、ちりじりになって逃げ出しました。
愛と美の女神アフロディーテと息子エロスは、魚に変身して川に飛び込みました。
パーンも魚に化けて逃げようとしましたが、あまりに慌てていたために、上半身はヤギ、下半身は魚という、おかしな姿に変身してしまったのです。
この奇妙な姿を愉快に思ったゼウスは、パーンの姿を天に上げ、星座にしたということです。
初めてこの神話を聞いたときにはインパクトがありました。変な話だったので(笑)
でも個人的には、今ひとつ説得力に欠ける話だな、と。というのは、もともと下半身がヤギなんですから、慌てたのなら頭だけ魚になってもいいと思うんですけどねぇ。(頭が魚、下半身がヤギ… かなり怖い生物になりそう)
やぎ座に限らず、この周辺には水にまつわる星座が集まっています。みなみのうお座、みずがめ座、うお座、くじら座、エリダヌス座…。星座を作った昔の人たちは、このあたりを夜空の「海」と考えていたようです。
また、ここがやぎ座とされたのは、冬至に太陽が位置したのがこの星座だったためだと考えられています。
太陽の南中高度は冬至に一番低くなり、冬至をすぎると一転、今度はだんだん高くなっていきます。その様子が、岩山をよじ登るヤギを連想させたのではないか、ということです。
つまり、水の星座とよじ登るヤギを一緒にしたら、こうなっちゃった!ということなんでしょうか?(えっ)
星座を作った古代の人たちに、ぜひともそのあたりについて、詳しく聞いてみたいものです(笑)。